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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
周産期その他
妊婦における子宮頸部細胞診異常の発生頻度と妊娠中のその進展・消退に関する検討


冨尾 賢介, 川名 敬, 冨尾 文子, 三浦 紫保, 織田 克利, 中川 俊介, 八杉 利治, 藤井 知行, 矢野 哲, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学産科婦人科


 [目的]ヒトパピローマウイルス(HPV)感染は若年者に広く蔓延している.本研究では,若年者の中で特に妊婦におけるHPV感染とそれに併発する子宮頸部細胞診異常の頻度及び進展の有無について検討した.
[方法]1990年と2000年における当科で出産した妊婦のおける子宮頸部細胞診class3以上の細胞診異常の頻度を年齢別に比較した.また1997〜2005年までに子宮頸部細胞診class3以上の妊婦について妊娠中の細胞診の変化を検討した.
[成績]妊婦における子宮頸部細胞診異常の頻度は,20-25才では1990年も2000年も全妊婦の5-6%で増減はなかった.25-30才と30-35才では2000年には,それぞれ7.3%,9.7%となり,1990年の同世代の8-10倍に増加していた.妊娠初期に子宮頸部細胞診class3以上の妊婦39例(class3a:28例,class3b:11例)において,妊娠末期の子宮頸部細胞診を追跡したところ,class4以上に増悪したのは1例(2.6%)のみで,26例がclass2以下に軽快し,12例が不変であった.妊娠末期のサンプリングエラーを防ぐため分娩後の追跡も行ったが,やはり26例が軽快,12例が不変であった.
[考察]CIN合併妊婦は近年増加傾向にあり,ピーク年齢は30-35才であった.諸家の報告からHPV-DNA陽性率のピークが20才前後であることをふまえると,30-35才ではHPV感染から細胞診異常に進展するリスクが高いと考えられる.細胞診class3bまでのCINは,妊娠中に増悪する可能性は極めて低く,経過観察が可能であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 269-269, 2008


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