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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
ART
採卵時における血清と卵胞液の酸化ストレスと抗酸化力の測定


高橋 敬一
高橋ウイメンズクリニック婦人科


 【目的】活性酸素・フリーラジカルは動脈硬化や老化などと関連があるとされるが,活性酸素の測定は容易ではなく,不妊症との関連は未だ明確にはなっていない.今回,酸化ストレスと抗酸化力を容易に測定できる分析装置FRAS4を用いて,体外受精・胚移植における活性酸素と妊娠との関連を明らかにする目的で測定・検討を行った.【方法】体外受精・胚移植における採卵を試みた29例を対象とした.検体は採卵直前の血清と主席卵胞液を使用し,FRAS4により酸化ストレス(d-ROM)と抗酸化力(BAP)を測定した.酸化ストレスd-ROMは300U.CARR以下を正常,300〜320をボーダーライン,321〜340を軽度,341〜400を中等度,401〜500を強度,501U.CARR以上を,かなり強度な酸化ストレス,と判断した.抗酸化力BAPは2201μmol/l以上を適値とし,2200〜2001をボーダーライン,2000以下を抗酸化力不足と判断した.採血・測定に際しては患者の了解を得た.【成績】1)d-ROMの平均値は血清で418U.CARR,卵胞液では369U.CARRだった.2)血清d-ROM検査において,酸化ストレスが正常だったのは1検体のみだった.3)血清と主席卵胞液のd-ROM値は正の相関を持つ傾向にあった.4)抗酸化力BAPの平均値は,血清で2710μmol/l,卵胞液で2673μmol/lであり,ほぼ同じ抗酸化力を示した.5)抗酸化力不足を示す検体はなかった.【結論】体外受精・胚移植患者の採卵時においては酸化ストレスが少なからず存在すると推測された.卵胞液の酸化ストレスは,血清によりある程度推測可能であることが示唆された.抗酸化力不足を示す患者は稀であると推定された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 272-272, 2008


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