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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
生殖内分泌・不妊2 基礎体温で2相性を示した妊娠症例4例の臨床検討
須藤 なほみ, 北川 浩明, 横尾 郁子, 古屋 智, 東梅 久子, 山口 隆, 高本 真弥, 古賀 千悠, 長谷川 亜希子, 竹林 明枝
虎の門病院産婦人科
【緒言】基礎体温(以降BBTと略す)において,一般的に高温相から低温相への移行は,その周期において妊娠が成立しなかったことを意味する.今回我々は,BBTが2相性を示したにもかかわらず,低温相への移行時期にすでに妊娠が成立していたと考えられた4症例を経験したので報告する. 【症例1】33歳,4G2P.クロミッド及びhCGによる排卵誘発症例.BBTの低下とともに月経様出血を認めた.その後に再度BBTが上昇し,その時点で子宮内に妊娠6週相当のGSを確認した.以降胎児は正常に発育. 【症例2】27歳,0G0P.FSH製剤及びhCGによる排卵誘発を行いIUIを施行した症例.BBT低下とともに月経様出血を認めた.その後BBTが再上昇し,その時点で右卵管部にGSを認めたため,右卵管妊娠と診断し手術を行った. 【症例3】33歳,5G0P.卵胞発育にあわせたIUI及び黄体補充を行った症例.BBTの低下とともに月経様出血があり,その後にBBTが再上昇.その時点で子宮内に10mmのGSと3mmの胎芽を認めた.以降胎児は正常に発育. 【症例4】28歳,1G0P.FSH製剤による排卵誘発と黄体補充を行った症例.BBT低下とともに月経様出血を認めた.その後にBBTが上昇し,その時点で子宮内に5mmのGSを認めたが以後習慣流産となった. 【考察及び結論】全症例において,排卵誘発及び何らかの黄体補充療法を追加した周期でBBTの低下に一致した月経様出血を認めており,その後のBBTの再上昇時点で妊娠5〜6週相当のGSを確認している.日常診療において,BBTが2相性を示していても妊娠がすでに成立している可能性がありえることを常に認識して対応する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
273-273, 2008
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