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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
卵巣癌3
術後化学療法が奏効した未熟奇形腫の一例


北川 夏子, 井畑 穰, 長谷川 哲哉, 佐治 晴哉, 鈴木 理絵, 助川 明子, 宮城 悦子, 平原 史樹
横浜市立大学附属病院産婦人科


 卵巣の胚細胞性腫瘍は比較的稀な疾患であるが,若年層に好発し妊孕性の温存術が標準的である点や,化学療法が著効する点など上皮性卵巣癌と異なる対応が必要であり,とりわけ思春期の女子の場合は精神的な面の考慮も重要課題となる.今回私たちは若年女子の巨大卵巣腫瘍に対して手術および化学療法を施行し奏効した症例を経験したのでインフォームド・コンセントを得た上で報告する.症例は17歳,未経妊.腹部膨満と便秘を主訴に近医を受診したところ,腹部CTで石灰化を伴う長30cmの巨大腫瘍を認め当院紹介となった.MRIでは,腫瘍の壁肥厚はないものの多房性であり,CA19-9,CA125,SCCなどの腫瘍マーカーも上昇していた.卵巣腫瘍悪性の疑いとして,左付属器摘出術+右卵巣嚢腫核出術+大網部分切除術を施行し,右卵巣は温存した.術後病理の結果は,未熟奇形腫Grade2であり,大網にも播種性転移を認めた.最終診断は,卵巣癌IIIb期(pT3bN0M0)となった.境界悪性ではあるが,播種性転移も認めたことから,本人,家族と十分に話し合ったうえ化学療法を施行することとした.BEP療法を3コース施行し腫瘍マーカーは陰性化した.月経周期も回復し外来経過観察中であるが,現在まで再発を認めていない.若年卵巣悪性腫瘍診断上の問題点を含め,文献的考察も含め報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 282-282, 2008


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