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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
卵巣癌3
粘液性境界悪性卵巣腫瘍を合併した成熟嚢胞性奇形腫の一例


金子 真由美1), 小林 翠1), 竹中 慎1), 清水 華子1), 杉山 将樹1), 木林 潤一郎1), 市原 三義1), 石川 哲也1), 森岡 幹1), 長塚 正晃1), 岡井 崇1), 九島 巳樹2)
昭和大学医学部産婦人科1), 昭和大学医学部病理2)


 卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性化は約1%であり,多くは扁平上皮癌化するが,悪性または境界の粘液性腫瘍を合併した症例の報告は稀である.症例は46歳,3経妊2経産.2007年6月25日に下腹部腫瘤感を自覚し,当院の外来を受診した.来院時,下腹部に可動性不良の腫瘤を触知した.経腟超音波検査では付属器領域に120×91mm大の,内部に高輝度部分を有する多胞性の嚢胞性腫瘤を認めた.骨盤MRI所見では骨盤部から腹部に及ぶ10×10cm大の,内部に脂肪成分を含有する腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはSLXのみが48U/mlと高値であった.卵巣成熟嚢胞性奇形腫の術前診断で2007年9月26日に腹腔鏡補助下左卵巣腫瘍摘出術を施行した.術中所見では,腫瘍は直径16×11cm,多嚢胞性で,粘液成分と奇形腫様の成分を伴っていた.術後の病理所見では,腫瘍の嚢胞部分は粘液を産生している腫瘍であり,一部に上皮細胞の多層化はあるが間質浸潤はなく,境界悪性と考えられた.腫瘍内側は奇形腫であった.以上より成熟嚢胞性奇形腫に伴った粘液性境界悪性卵巣腫瘍と診断した.2008年1月9日,開腹により腹腔内の再検索を行うとともに左付属器切除術及び大網部分生検を施行した.卵巣・卵管に悪性所見はなく,腹腔洗浄細胞診はclassIIであった.粘液性境界悪性卵巣腫瘍(および成熟嚢胞性奇形腫)Ic(b)期と診断し,術後補助療法は施行しなかった.現在再発兆候なく外来経過観察中である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 282-282, 2008


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