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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
卵巣癌3
TC療法が著効した成熟嚢胞性奇形腫悪性転化の一例


石川 香織, 古川 哲平, 鈴木 昭久, 鹿島 大靖, 宮本 強, 堀内 晶子, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科


 成熟嚢胞性奇形腫は卵巣腫瘍の20%を占める良性腫瘍であるが,悪性転化はその約2%に生じる予後不良な疾患である.今回,TC療法が著効した卵巣癌4期,成熟嚢胞性奇形腫悪性転化症例を経験したので報告する.症例は50歳,2007年7月に排尿困難,尿閉,下腹部痛が出現したため前医を受診,骨盤内腫瘤を指摘され当科を紹介受診した.骨盤内より臍下1横指に達する腫瘤を触知し,画像検査では16x8x12cmの充実部分を伴う嚢胞性腫瘤を認め,一部に脂肪成分,石灰化を認めた.また傍大動脈リンパ節腫大を認めた.腫瘍マーカーはSCC,CA125,CA19-9,CEAのいずれも高値であった.以上より卵巣癌,成熟嚢胞性奇形腫悪性転化と診断し手術療法の方針とした.しかし,手術直前に施行したCTにて肝転移を認めたため,手術を中止し化学療法(TC療法)を行う方針とした.TC療法1コース施行後発熱を認め,CTでは腫瘤は縮小するも腫瘤内にガス像を認め,腫瘤−腸管ろうおよび腫瘤内感染と診断した.抗生剤投与により感染兆候が沈静化した後に10月27日開腹術を施行,腫瘤は右卵巣由来で子宮,回腸,S状結腸,直腸と一塊となり膿瘍を形成,直腸への浸潤,直腸穿孔を認め,単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,小腸部分切除術,S状結腸・直腸切除術,腹膜播種病巣摘出術,人工肛門増設術を施行した.腫瘤には角化を伴う扁平上皮癌と異型のない扁平上皮,線毛上皮や毛髪を認め成熟嚢胞性奇形腫悪性転化と診断した.術後TC療法を3コース施行後には肝転移巣は消失し,傍大動脈リンパ節は縮小,6コース施行後傍大動脈リンパ節腫大は消失,新規病変の出現を認めず治療終了とした.術後9ヶ月経過した現在まで再発兆候を認めない.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 283-283, 2008


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