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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍1 針生検では診断し得なかった子宮肉腫の1例
岩佐 朋美, 西 洋孝, 長谷川 瑛, 三森 麻子, 小林 由香利, 向田 一憲, 井坂 惠一
東京医科大学産科婦人科
術前診断における子宮筋腫と子宮肉腫の鑑別にはしばしば苦慮するが,針生検が有用であったとする報告も散見される.今回我々は,針生検にて子宮筋腫と診断されたが,術後に子宮平滑筋肉腫と判明した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は74歳.他院内科にての健診の際に下腹部腫瘍と診断され,当科紹介受診となった.触診上,臍上2横指に達する固い腫瘤を触れたが,問診によると30年前より存する腫瘤とのことであった.初診時のLDH値が318U/lであり,MRIのT1強調画像にて低信号の腫瘤像内部に高信号を呈する部分を認めたため,肉腫を疑い針生検を施行した.経腹超音波検査下に5カ所生検したところ病理学的には平滑筋腫であったため,2ヶ月間経過観察とした.画像上腫瘤の増大は認められなかったが,LDH値が388U/lと軽度上昇しており,拒否していた手術療法を強く勧め内性器全摘術を行った.術後,子宮平滑筋肉腫の診断を得,adjuvant therapyとしてIAP療法を開始した.針生検にて肉腫が検出されれば確定診断となりうるが,筋腫等の良性疾患と診断された場合には,腫瘍サイズ・LDH値・画像所見等を総合的に検討して注意深く治療方針を決定する必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
284-284, 2008
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