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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍1 当施設にて経験した子宮肉腫についての検討
平嶋 洋斗, 根津 幸穂, 鈴木 有紀, 林 由梨, 川島 恵, 大丸 貴子, 松井 伴衣, 山川 洋光, 伊藤 雄二, 今野 良
自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科
子宮肉腫は子宮悪性腫瘍の4-9%と稀であり,予後不良とされている.2000年1月から2008年7月に当施設で経験した子宮肉腫15症例の組織型および臨床経過について後方視的に検討した.初発時平均年齢は57±12歳(43-79),初発症状は不正性器出血が9例(60%)と最多であった.初発症状より診断されるまでの平均期間は1.9ヶ月であった.術前に細胞診および組織診断にて肉腫を推定できたものは6例で,いずれも明確な所見が得られず子宮鏡下子宮内膜全面掻爬により肉腫の診断に至ったものが3例であった.手術適応となった症例は13例(87%)であり,子宮全摘術+両側付属器切除術+後腹膜リンパ節郭清が4例,子宮全摘術+両側付属器切除術が7例であった.摘出困難と判断された症例については放射線および化学療法を併用した.病理診断ではcarcinosarcoma 7例,endometrial stromal sarcoma 4例,leimyosarcoma 2例,rhabdomyosarcoma 1例,undifferentiated sarcoma 1例で,FIGO分類ではI-II期が3例,III-IV期が12例と進行例が多かった.術後は全例化学療法を施行したが,carcinosarcomaに対してはTJ療法を,その他の症例に対してはIAP療法を第一選択とした.平均観察期間は34.7±16.6ヶ月(3-102)であり,死亡例は8例(53.3%)と半数を超えていた.生存例は6例(40%)(無病生存例2例,担癌生存例4例)で,平均生存期間は16.6±12.7ヶ月(1-46)であり,逸脱が1例あった.子宮肉腫の進行は急速であり,早期の正確な診断および治療が必要である.術前の細胞診や組織診の結果から十分な情報を得られない症例もあり,血液検査や画像診断との総合診断が重要と考えている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
284-284, 2008
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