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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍1 子宮頸部原発悪性リンパ腫の一例
武田 哲, 加藤 清, 佐近 普子, 保倉 宏, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科
女性生殖器原発の悪性リンパ腫は極めてまれで全節外性リンパ腫の1%程度といわれており,子宮頸部原発に限るとさらに頻度が低い.今回われわれは,子宮頸部原発濾胞性リンパ腫の症例を経験したので報告する.症例は36歳,2回経産婦で,前医にて平成16年から子宮頸部細胞診異常のため経過観察中であったが,平成20年3月に子宮頸部腫瘤を指摘され当科に紹介となった.内診上腫大した頸部を触れ,経膣超音波断層法にて同部位に径3cmの子宮筋腫様の腫瘤を認めた.子宮頚部細胞診はclass Iであり,腫瘍マーカーCA125,SCC,CEA,CA19−9はいずれもカットオフ値以下であった.急速に増大していると考えられたためMRIを施行したところ,頸部後壁を中心にT1強調像で等信号,T2強調像でやや不均一な高信号を呈する44×32mmの腫瘤が存在し,典型的な子宮筋腫の像とは異なっていた.PET/CTでは同部位のみに強い集積を認めた.腫瘤の針生検を実施したところ,リンパ球の異常集積を認め,悪性リンパ腫を否定できない像であった.5月に腹式単純子宮全摘術を施行した.肉眼的には粘膜面には異常はなく頸部壁内に境界やや不明瞭な灰白色の充実性腫瘍を認め,膣壁に浸潤を伴っていた.病理組織像は腫瘍細胞がびまん性増殖を示す部分も認めるが,濾胞構造を明瞭に形成しており,免疫染色ではCD20(+),CD79(+),CD10(+),bcl-2(+)であり,濾胞中心細胞由来と考えられた.以上から濾胞性リンパ腫,Grade2相当と診断した.現在術後追加治療として放射線療法を施行している.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
285-285, 2008
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