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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍2 腟壁に発生したMalignant peripheral nerve sheath tumorの一例
川田 亜公子, 山下 宗一, 村田 知美, 平川 隆史, 青木 宏, 中村 和人, 峯岸 敬
群馬大学医学部産科婦人科
腟壁原発の神経鞘腫は非常に稀であると報告されており,その予後あるいは有効な治療法は未だ確立されていない.今回我々は腟壁原発と思われるMalignant peripheral nerve sheath tumorの一例を経験したので報告する.症例は78歳,2経妊2経産,婦人科的に特記すべき既往歴なし.脊柱間狭窄症手術のため他院整形外科入院中に腟壁腫瘤を認め,2008年4月に精査・加療目的に当科紹介受診となった.初診時腟入口部より約一センチほどの部位に,子宮とは不連続で表面平滑,周囲との明らかな癒着認めない可動性良好な径5センチ大の腫瘍認めた.子宮・両側附属器は内診・エコー上は異常認めず.同日腟壁腫瘍に対し施行した針生検ではSpindle cell sarcoma susp.でありまた子宮内膜細胞診ではclass∨,stromal cell sarcoma susp.であった.上記結果より子宮体部肉腫・腟転移の診断にて同6月3日手術施行.腟壁腫瘍は手術準備中に肉眼的に明らかな増大と表面の破壊性変化認めた.手術は腹式単純子宮全摘,両側附属器切除に加え腟壁腫瘍切除術を試みるも,腟壁と腸管壁の分離困難であったため外科医師により腹会陰式直腸切断術(マイルズ手術)及び後腟壁摘出施行した.腟壁腫瘍の病理結果はMalignant peripheral nerve sheath tumorであり,子宮・両側附属器には悪性所見認めず腟壁悪性原発腫瘍と診断した.病理学的に切除断端陽性であり腫瘍の残存疑われたが,文献的に同腫瘍は化学療法・放射線治療に抵抗性であるため,ご本人・ご家族の同意を得て追加治療施行せず現在経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
288-288, 2008
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