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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
子宮筋腫
著明な下肢浮腫を認めた巨大子宮筋腫の1例


福田 麻実, 山本 泰弘, 田岡 英樹, 浅川 恭行, 久布白 兼行
東邦大学医療センター大橋病院産婦人科


 骨盤内腫瘤による圧迫に伴って下肢静脈うっ滞が生じ,その結果下肢静脈血栓症が認められることがある.今回我々は,巨大子宮筋腫が下肢静脈血栓症の原因と考えられ,著明な下肢浮腫を来たした1例を経験したので報告する.症例は47歳,2回経妊2回経産.左下肢浮腫を主訴に近医を受診し,精査・加療のため当院へ紹介受診となった.初診時左下肢の著明なnon-pitting edemaと臍上に達する腹部腫瘤が認められた.緊急CT検査にて最大横径23cmの一部内部壊死を伴う子宮筋腫が認められ,それによる左総腸骨静脈の圧迫と大伏在静脈にかけての血栓が認められた.下肢浮腫は巨大子宮筋腫による圧迫から生じた血栓によるものと診断され,開腹手術予定とし同日よりワルファリンカリウム開始となった.手術前日に下大静脈フィルター(IVCF)を挿入し,子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した.検体総重量は5.4kgであった.手術当日よりワルファリンカリウムおよびヘパリンを再開した.術後6日目IVCF抜去予定であったが,超音波検査にてIVCFに直径68mm大の血栓付着が認められたため血栓溶解剤投与の上ワルファリンカリウム増量となった.術後11日目の超音波検査においても血栓は縮小しておらずIVCF抜去は見送られた.術後25日目には左総腸骨静脈から大腿静脈までの血栓は残存しているもののIVCFの血栓は消失したため,術後26日目にIVCF抜去となった.下肢浮腫は術後より次第に改善傾向が認められ,術後1ヶ月でほぼ消失した.術後30日目に退院となり,現在外来にて残存する下肢静脈血栓に対しワルファリンカリウム投与の上,定期的に超音波検査を施行し経過観察中である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 289-289, 2008


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