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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
良性腫瘍 帝王切開の手術瘢痕部に発生した皮膚子宮内膜症の一例
中西 美紗緒, 佐藤 茉弥, 池田 悠至, 岡 朱美, 水主川 純, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター病院産婦人科
皮膚子宮内膜症は比較的頻度が少なく,診断に苦慮することがある.今回,帝王切開術後の瘢痕部に腹壁腫瘤を認め,皮膚子宮内膜症と診断された1例を経験したので報告する.症例は,32歳,3経妊2経産.主訴は下腹部壁腫瘤,腫瘤部疼痛.2001年4月に帝王切開術施行.2003年,創部に腫瘤を触知.2004年より帝王切開術創部に下腹部痛が出現し,2005年8月当科受診し,腹壁腫瘤の疼痛を訴え精査加療目的に入院した.入院時,前回帝王切開横切開創のやや右側に弾性硬,可動性不良,表面に茶褐色の着色を伴う圧痛のある境界不明瞭な2×3cmの皮下腫瘤を触知した.経腹超音波では手術瘢痕線直下に1.6×2.6cmの境界不明瞭な低エコーの充実性腫瘤を認めた.CTでは右腹直筋皮下脂肪層に軽度造影される境界明瞭な径1.5cmの腫瘤,MRIでは下腹部正中やや右側の術後瘢痕部に1.6cmの腹壁腫瘤を認め,深部は腹直筋に接していた.以上から,デスモイドや縫合糸肉芽腫を疑い当院外科にて腹壁腫瘤切除術を施行した.病変は,皮膚と腹直筋にはさまれた脂肪組織内にある径2cmの白色腫瘤で,病理検査で白色腫瘤に一致した間質を伴う子宮内膜腺組織を散在性に認めた.術後経過は良好で以後疼痛はない.皮膚子宮内膜症の発生部位の中で,手術瘢痕部に生じる腹壁子宮内膜症は50〜60%と比較的頻度が多い.手術の種類は,帝王切開術が多く子宮内膜症を腹壁腫瘤の鑑別に挙げることが重要と考えられた.本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
293-293, 2008
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