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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
良性腫瘍
腹腔内に散在する異物肉芽腫を認めた卵巣皮様嚢腫の一例


伊熊 慎一郎, 平井 千裕, 渡り 綾子, 稲垣 徹訓, 牧野 真太郎, 糸賀 知子, 西岡 暢子, 小堀 宏之, 長沢 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科


 【緒言】肉芽腫は外来性や内因性抗原に対する生体の免疫反応の結果生じ,結核菌やらい菌などの細菌性抗原やシリカなどの外来異物以外にも腫瘍細胞を含む自己成分がその原因として知られている.今回,卵巣嚢腫に対し腹腔鏡下手術を施行したところ腹腔内に散在する播種性病変を認め,異物肉芽腫の病理診断を得た極めて珍しい症例を経験したので報告する.【症例】29歳1経妊1経産既往歴に特記事項なし下腹部違和感を主訴に近医受診.内診および経膣超音波で皮様嚢腫が疑われ手術目的に当院紹介受診.MRI上,T1W1で高信号,T2W2で等信号,脂肪抑制で抑制効果がある単房性の卵巣嚢腫を認めた.腫瘍マーカーはCA19-9,CA125,SCCいずれにおいても異常を認めなかった.これらの所見より皮様嚢腫の診断で腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術を施行した.臍部よりカメラポートを留置し腹腔内を観察したところ,腹膜全体に広がる無数の粟粒状の播種性病変,大網を中心とする高度の癒着,緊満感の乏しい左卵巣嚢腫が確認された.緊急に腹膜病変の術中迅速病理検査を施行したところ悪性の可能性は低いとの診断であったため,予定通り腹腔鏡下に手術を完遂した.病理組織検査ではMature cystic teratoma of left ovary,腹膜病変は脂肪成分を内容とする異物肉芽腫との診断であった.術後に本人から分娩後1週間持続した下腹痛のエピソードが確認された.以上の所見から分娩時に破裂した皮様嚢腫内容物が腹腔内に散乱した結果,異物反応を惹起したと示唆された.【結語】卵巣嚢腫内容物に対する異物反応で生じた腹腔内異物肉芽腫が散在する珍しい症例を経験した.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 294-294, 2008


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