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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
良性腫瘍
充実性成分を伴う襄胞のため卵巣腫瘍との鑑別が困難であった貯留襄胞の1例


若佐谷 敦, 大和田 倫考, 厚木 右介, 奥野 さつき, 桑田 吉峰, 高橋 佳容子, 山田 哲夫, 佐藤 郁夫
国際医療福祉大学病院産婦人科


 骨盤内貯留襄胞は開腹歴のある患者において時々経験するが,卵巣襄腫との鑑別が困難なことがある.われわれは,一部に充実性成分を伴う骨盤内襄胞であったため卵巣腫瘍(悪性疑い)との鑑別が困難であった貯留襄胞の1例を経験したので報告する.症例は46歳,2経妊2経産.2005年7月に子宮筋腫のため腹式子宮全摘術が施行されている.この時の腹腔内は子宮内膜症による癒着が強度であった.2008年4月下腹部の腫瘤,疼痛を主訴に近医を受診し,卵巣襄腫の疑いで当科を紹介された.触診では臍高に達する襄胞性腫瘤が触知された.超音波検査では11cm大の単房性嚢胞がみられ,さらにMRIでは嚢胞壁の一部に充実性成分が確認された.腫瘍マーカーはCA125 4U/ml,CA19-9 12U/mlで,いずれも正常域であった.既往歴および画像所見より貯留嚢胞の可能性が高いと考えられたが,悪性卵巣腫瘍に対する患者の不安が非常に強いため開腹手術に踏み切った.開腹所見では,嚢胞壁と周囲の腸管および骨盤壁との癒着が高度であった.嚢胞壁の一部を開窓し,内容液(淡黄色,透明の漿液性成分)約900mlを吸引したところ,嚢胞内に正常大の左卵巣が確認された.今回の嚢胞形成の一因であると判断し,左卵巣の摘出および嚢胞の腹腔内開放を行い,手術を終了した.摘出した左卵巣の病理組織所見は,間質を伴う子宮内膜上皮様の構造やヘモジデリン沈着を伴う組織球による肉芽組織がみられ,卵巣子宮内膜症に合致する所見であった.術後の経過は良好で,術後6日で退院した.現在,ダグラス窩にわずかに液体の貯留が認められるのみである.本症例は,腹腔内癒着と卵巣子宮内膜症により惹き起こされた貯留襄胞と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 294-294, 2008


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