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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
産科出血 当院で周産期の子宮摘出を必要とした8症例の検討
牧野 真太郎, 平井 千裕, 稲垣 徹訓, 渡り 綾子, 糸賀 知子, 西岡 暢子, 小堀 宏之, 長沢 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科
<緒言>周産期の出血は急激かつ大量なうえ,羊水の混入などにより正確な出血量の把握が困難である.そのため,輸血の正確な開始時期を逸してしまいショックやDICに至る症例もしばしばみられる.今回,我々は当院で分娩時もしくは産褥期に出血の管理が困難なために子宮摘出を必要とした8症例につき検討を行ったので報告する.<対象・方法>2003年から2008年に周産期に出血管理のために子宮摘出を必要とした8症例を対象とした.検討項目は,原疾患・出血量・総輸血量ならびに術後輸血量(FFP/MAP比を含む)とした.<結果>症例の内訳は癒着胎盤3例,弛緩出血2例,子宮破裂2例,常位胎盤早期剥離術後1例であった.出血量は5793.8ml±1173.9ml(3060ml-12,000ml),輸血量はMAP 25±6.4単位,FFP 36±13単位,FFP/MAP比1.25±0.18,術後の輸血量でみるとFFP/MAP比1.66±0.27であった.原疾患と出血量との関連は認めなかったが,出血量とFFP/MAP比,特に術後FFP/MAP比との強い相関(γ=0.75)がみられた.大量出血症例2例(出血量12,000,10,000ml)での術後FFP/MAP比は2.68,2.4と他の6症例(出血5000ml以下)に比べ有意に高値であった(p=0.004).<結語>大量出血例においては循環動態の維持のみならず,輸血での凝固因子補充による止血作用に重きを置く必要がある.大量出血例では術後FFP/MAPは特に高値を示し,このような症例に対する適切なFFP輸血による凝固因子の補充が重要であることが再確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
296-296, 2008
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