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<< 学会誌へ戻る 【緒言】分娩時の産道裂傷からの出血は，時として制御困難な強出血や血腫形成を引き起こすことがある．今回我々は，分娩後の膣壁裂傷から後腹膜血腫を形成しDICに至った症例を経験した．本症例の管理において止血困難な出血に対して動脈塞栓術が有効であった．分娩時合併症における血管内治療についての文献的考察を加え報告する．【症例】30歳，0経妊0経産，妊娠経過には特に異常を認めなかった．妊娠39週3日に自然陣痛発来し2600g男児を経膣分娩した（分娩所要時間4時間4分）．クリステレル圧出法，吸引分娩などは施行していない．子宮収縮は良好であったが分娩1時間後より出血増量した為，当院に緊急母体搬送となった．来院時には外出血の他，軽度の頻脈を認めたが全身状態は安定していた．内診上5時方向に膣壁裂傷を認め，同部位より軽度の出血を認めた．血液検査所見ではHb 7.3g/dl，Plt 82000/μlであり，DICスコア7点であった．経腹，経膣超音波検査で出血原は明らかでなかったが，腹部造影CTで膣周囲左側優位に後腹膜血腫を認めた為，緊急血管造影および開腹止血術を施行した．開腹時明らかな子宮破裂の所見はなく，左後腹膜血腫を認めたが，DICの状態であった為子宮全摘術等は施行困難と判断し，子宮動脈塞栓術を追加し止血を図った．【考察】膣壁最深部からの出血は経腹的，経膣的アプローチのいずれにおいても術野展開，縫合止血が極めて困難である．このような場合，骨盤動脈塞栓術は有効な止血手段の選択肢であると考えられた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 297-297, 2008 |
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