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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
胎盤 胎盤位置異常との鑑別が困難であった絨毛膜外性胎盤(Placenta extrachoralis)の1例
三宅 秀彦, 高屋 茜, 菊池 芙美, 印出 佑介, 三浦 直美, 五十嵐 美和, 村田 知昭, 木下 和哉, 鈴木 俊治
葛飾赤十字産院産科
【緒言】絨毛膜外性胎盤(PE)の臨床的意義は,問題点が少ないとするものから,様々な合併症との関連を考慮するものまで,様々な意見が存在する.今回,我々は低置胎盤との鑑別が困難であったPE症例を経験したので報告する.なお,この報告にあたっては文書による同意を得ている. 【症例】症例は35歳,1回経妊1回経産婦.自然周期より妊娠成立,近医で前置胎盤と診断され,妊娠22週時に前医を外来紹介となった.妊娠28週5日,性器出血のため前医救急外来を受診,腟分泌物中IGFBP-1陽性であり,塩酸リトドリン点滴および抗菌剤を使用開始した.その後も性器出血が断続的に認められ,前医NICU受け入れ不能に加えて本人の里帰り分娩希望があり,妊娠33週0日当院へ母体搬送となった.当院初診時,少量の出血を認め,腟分泌物中IGFBP-1陰性,胎盤下縁は内子宮口より約1.2cm離れており,低置胎盤を診断した.塩酸リトドリン点滴を継続したところ,性器出血は消失,胎盤下縁が内子宮口より4cm以上離れ,経過は良好かと思われた.しかし,妊娠35週6日で塩酸リトドリン投与を中止したところ,突然の多量性器出血が出現,胎盤が内子宮口を覆う所見が認められ,緊急帝王切開術を施行した.児は,2380gの女児,アプガースコア1分後7点,5分後8点で,臍帯動脈血pHは7.258,特に外表奇形などを認めなかった.胎盤の肉眼的所見では,PEに臍帯の辺縁付着をともなっていた. 【結論】今回の症例において,PEが胎盤付着部位の診断を困難にし,さらには多量出血の原因となった.比較的低位置に存在するPEは,内子宮口から離れていても低置胎盤と同様の症状を呈するので,注意が重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
301-301, 2008
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