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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
胎児1 側脳室拡大により出生前診断されたChiari奇形の1例
真島 実, 佐藤 孝道, 塩田 恭子, 斎藤 理恵, 榊原 嘉彦, 秋谷 文, 町田 弘子, 小場 紀和子, 酒見 智子, 漆原 知佳, 彦坂 慈子
聖路加国際病院女性総合診療部
Chiari2型奇形は脊髄髄膜瘤に伴う小脳・橋・延髄を主体とする奇形と定義される.今回,我々は両側対称性の側脳室拡大より出生前診断された,Chiari2型奇形の1例を経験したので報告する.【症例】34歳0回経妊0回経産.自然月経周期で妊娠.妊娠14週6日より当院に受診.18週6日,22週6日,26週6日に妊婦健診を行っているが,明らかな異常は指摘されていない.妊娠30週2日,切迫早産の加療目的に入院.入院時にスクリーニング目的で行った超音波で,側脳室三角部径:10.3mmと,左右対称性の側脳室の拡大が認められたが,その他の児奇形は超音波では確認できなかった.このため精査目的でMRIを行ったところ,腰仙椎レベルでの脊髄髄膜瘤,両側側脳室の拡大,延髄小脳下部の大後頭孔からの下垂の所見を認めChiari2型奇形と診断.清潔操作での娩出のため予定帝王切開を予定.しかし,抑制不能な子宮収縮があり,34週4日緊急帝王切開を施行した.出生後の児の診断はChiari2型奇形.日齢0に髄膜瘤閉鎖術を施行.日齢4に脳室腹腔シャント形成術を施行している.シャント術後,両側側脳室の大きさは縮小傾向.感染徴候や水頭症の悪化は見られず,日齢29に退院となった.【考察】側脳室拡大から出生前診断されたChiari2型奇形の1例を経験した.超音波所見では側脳室の拡大以外異常が指摘できなかったが,これには胎位や胎盤の位置が関与したものと考えられる.超音波で十分観察できない場合のMRIの有用性が示された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
303-303, 2008
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