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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
胎児3 妊娠17週で急性B型肝炎を発症したのち胎便性腹膜炎を発症したと考えられた1例
祖川 侑子, 楠木 総司, 今野 秀洋, 山本 恵理子, 氏平 崇文, 永井 富裕子, 田口 雄史, 阿部 礼子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学産婦人科
胎便性腹膜炎は出生前に消化管穿孔を起こし,胎便が腹腔内に出て腹膜炎になったものであり,超音波上,胎児腹水,腸管拡張,羊水過多等が認められる.多くは出生後,外科的治療が必要となるが自然修復され手術の必要のない例も報告される.今回我々は妊娠17週で急性B型肝炎を発症したのち胎便性腹膜炎を発症したと考えられた1例を経験したので報告する.症例は33歳,0経妊0経産.妊娠17週で近医より急性B型肝炎の診断で当科を初診となった.初診時の採血ではHBs抗原,HBe抗原は高値でT-Bil 8.4mg/dlと肝機能異常を認めたため,同日,緊急入院となった.安静,点滴管理で徐々に改善傾向にあり,妊娠19週時に退院,外来で経過観察となった.妊娠21週の妊婦健診時に胎児腔水症を認めたため精査を行ったが,サイトメガロウイルス,パルボウイルス感染は否定的で,胎児発育,他,明らかな合併奇形は認めなかったため,外来で経過観察とした.その後胎児腹水の増加を認めたため妊娠37週に予定帝王切開術を施行した.児の体重は3134gの女児でApgar scoreは1分値が8点,5分値が10点でNICU管理とし,腹水穿刺を行ったところ胎便様の吸引物を認めたため,胎便性腹膜炎と診断した.経口栄養開始後も経過順調であることから自然修復が考えられ,外科的治療は行わず,現在,外来通院中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
308-308, 2008
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