関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【シンポジウム1】
産科における超音波診断
早産リスク評価の観点からみた経腟超音波による子宮頸管長測定の意義


深見 武彦
日本医科大学武蔵小杉病院講師


 我が国の早産率は漸増傾向にありここ数年5%台で推移している.早産児の死亡率,罹病率は依然高く,特に1000g未満の超低出生体重児ではその20%以上が精神発達に問題を残している.また高次周産期施設への搬送の理由の7割近くが早産に関わる疾患であり,限りある施設やマンパワーを有効活用すべき点からも早産予防は重要課題といえる.早産を予防するための第一手は,早産リスクの高い妊婦を選別することにある.自然早産にいたる前段階の状態を切迫早産と仮定すれば,その初期段階では無症候性のことが多い.よって切迫症状(頻回な子宮収縮の自覚,性器出血,破水など)のみを頼りとしていては,すでに早産が不可避な段階に達するまで見過ごされてしまう可能性がある.
 妊娠維持のために子宮頸管(以下頸管と略す)が果たす役割は重要である.頸管は子宮内と外界を隔てているバリアであり,その物理的支持力により妊娠を維持し,腟からの上行感染を防御する役割も担っている.よっていったん頸管のバリアが破綻すると,妊娠経過に伴う頸管への負荷に抗えず頸管の展退・開大を引き起こし,子宮内への感染や炎症の波及を助長し,さらなる頸管の熟化をも促進し最終的に破水・抑制不可な陣痛に至ると考えられる.
 経腟超音波による頸管長の測定は,このバリアの状況を把握するのに有用であると考えられ早産リスク評価には合理的な検査方法であると思われる.頸管長が短い程早産の危険性は高まり,これはすべての妊婦に当てはまる.HONESTらのreview(2003)によると,無症状の単胎一般妊婦を対象とした場合,頸管長のカットオフ値を25 mmとし34週未満の早産を予測する場合,<20週,20―24週,>24週での陽性尤度比はそれぞれ6.29,4.40,4.07であった.これは検査前の34週未満の早産率を4.1%と考えると,頸管長が<25mmの場合予測される早産率がそれぞれ21.2%,15.8%,14.3%に上昇することを示している.しかし実際の妊婦健診の現場に頸管長の測定を導入するにあたっては,いくつかの問題点もある(@一般妊婦(ローリスクが大多数)を対象とした場合,その感度が比較的低い.すなわち実際早産となる人でもスクリーニング時には頸管長が短縮していないことも結構多いのである.Aスクリーニング施行の適切な時期,回数,カットオフ値はどうか.B頸管短縮例に対する確立された治療方法がない).
 当院では妊娠16週以降,毎回妊婦健診時に経腟超音波による頸管の測定を行っているが,自験例から頸管長によるスクリーニングの妊婦健診への適切な組み込み方について検討し報告をしたい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 128-128, 2009


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会