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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症
深部静脈血栓症を合併した巨大子宮筋腫に対し,一時的下大静脈フィルターを挿入し子宮全摘術を施行した一例


平田 麻実, 近澤 研郎, 平光 史朗, 原田 竜也, 若林 晶, 久保田 俊郎
東京医科歯科大学周産女性診療科


 巨大子宮筋腫は時に静脈圧排や下肢の血流障害を引き起こし,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)の潜在的危険因子となり得ることは知られている.またDVTを合併した骨盤内腫瘍の手術療法は,急性肺血栓塞栓症を引き起こす可能性もあり,その周術期管理が非常に重要である.
 今回我々は,DVTを合併した巨大子宮筋腫に対し,術前に一時的下大静脈フィルターを挿入し,子宮全摘術を施行し良好な経過を辿った一例を経験したので報告する.
 患者は47歳2経妊2経産,血栓症素因,静脈血栓塞栓症の既往はなかった.4年前より9cm大の子宮筋腫を指摘されていたが未治療であった.2年前より左下肢の浮腫の増悪と寛解を繰り返していたが,本年1月左下肢疼痛を著明に認めたため他院受診した.15cm大の子宮筋腫,左下肢DVTを指摘され,当院紹介受診となった.造影CTにて左腸骨静脈から左膝窩静脈にかけて広汎な陰影欠損を認め,子宮筋腫が原因であるDVTと考えられた.一時的下大静脈フィルター留置後,子宮全摘術を施行した.術中,術後に大きなトラブルはなく,急性肺血栓塞栓症は認めなかった.術後19日目に一時的下大静脈フィルターを抜去し,少量の血栓付着は認められたものの,入院経過に問題なく現在外来通院中である.
 一時的下大静脈フィルターは,それ自体による血栓症や感染症のリスクもあるが,周術期の急性肺血栓塞栓症の予防には有用であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 150-150, 2009


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