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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 イレウスを生じた腸管子宮内膜症の一例
難波 直子, 室本 仁, 間瀬 徳光, 岩見 菜々子, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 山本 幸彦, 石田 友彦, 丸茂 元三, 森田 豊, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科
イレウスを生じた腸管子宮内膜症の一例異所性子宮内膜症の中で,腸管に発生するものは比較的めずらしく,その多くは月経時の反復する下血などの症状を呈する.我々は,イレウスを生じ,手術療法により腸管子宮内膜症と診断した症例を経験したので報告したい.症例は35歳,0経妊0経産,2004年に両側内膜症性のう腫にて他院にて腹腔鏡下手術歴あり,その際の所見として,進行した骨盤内子宮内膜症が存在していたとのことだった.2008年6月,一週間の便秘と嘔気嘔吐を主訴に近医を受診.イレウスの診断にて精査加療目的に当院へ紹介された.腹部CTでは直腸の壁肥厚と両側卵巣のう腫を認め,下部消化管内視鏡では直腸Rs部からS状結腸にかけて広範囲な狭窄像がみられた.粘膜下腫瘍様の隆起病変のように見られ,生検では特記する所見を得られなかった.月経時の下血,子宮内膜症の既往歴より,イレウスの原因として壁外性の腸管子宮内膜症を強く疑い,イレウスに対する保存的治療と同時にGnRHaによるホルモン療法を開始した.一時的に症状は軽快したが,月経とともに下血,イレウス症状が再燃した.インフォームドコンセントを得たのち,直腸低位前方切除術を施行した.検体の病理所見では筋層内に子宮内膜組織を認め,その周囲に出血もみられ,腸管子宮内膜症と診断した.術後はGnRHaをはじめとするホルモン療法を継続して行っている.本症例の詳細を報告するとともに,文献的考察にも考察したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
151-151, 2009
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