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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
良性腫瘍 急性腹症を呈した骨盤内発生のlymphangiomaの一例
岩見 菜々子, 室本 仁, 間瀬 徳光, 難波 直子, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 山本 幸彦, 石田 友彦, 丸茂 元三, 森田 豊, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科
リンパ管腫は小児の代表的な良性腫瘍の1つで,頚部や腋窩が好発部位であり,成人発症の骨盤内発生例は稀である.今回我々は,術前診断が困難であった空腸腸間膜発生のlymphangiomaによる急性腹症の一例を経験したので報告する.症例は48歳女性.下腹部痛を自覚し,次第に増悪傾向を認め,疼痛発症後2日目に近医を受診.超音波にて子宮筋腫及び左卵巣嚢腫と思われる腫瘤像を認め,腹痛が継続していたことから,精査加療目的に当院へ同日紹介となった.腹膜刺激症状陽性,血液学的に炎症所見も認め,急性腹症の原因精査・加療のため入院とした.超音波,造影CTにて直径6cm大の子宮前壁右側に連続する嚢胞変性を伴った漿膜下筋腫,及び子宮左側やや上方に5cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.臨床所見,画像所見,血液学的所見などから,左卵巣嚢腫の茎捻転を強く疑い,インフォームドコンセントを得て,開腹手術を施行した.手術時,左付属器は正常で,左卵巣嚢腫の茎捻転と考えられていた嚢腫は空腸に近接した嚢腫であった.空腸部分切除により嚢腫を破裂させることなく摘出した.術後の病理結果にて,嚢腫は空腸腸間膜発生のlymphangiomaと診断された.本症例の発生頻度は低いが,骨盤内嚢胞性腫瘤の鑑別診断の一つとして考慮すべきと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
152-152, 2009
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