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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
良性腫瘍 子宮体部脂肪腫の1例
糸賀 知子1), 平井 千裕1), 稲垣 徹訓1), 渡り 綾子1), 牧野 真太郎1), 西岡 暢子1), 小堀 宏之1), 長澤 敢1), 山本 勉1), 三ツ矢 和弘2)
越谷市立病院産婦人科1), スピカレディースクリニック産婦人科2)
【緒言】脂肪腫は成熟脂肪細胞からなる良性腫瘍であり,脂肪組織が存在する部位であればいかなる臓器からでも発生する可能性があるが,子宮体部からの発生は極めて稀である.今回,子宮体部から発生した脂肪腫の症例を経験したので報告する.【症例】55歳2経妊2経産.閉経50歳 平成20年1月頃より,左下腹部痛認め近医受診.経腟超音波断層法にて子宮体部領域に6cm大のhyperechoicな腫瘤を認めた.平成20年9月手術目的にて当院紹介となった.初診時内診所見では,子宮は手拳大で特に腫瘤の増大傾向はなく,腫瘍マーカはCA19-9 5 U/ml,CA125 13 U/ml CEA 2.5 U/mlといずれも正常範囲内であった.骨盤MRIでは子宮体部左側にT1,T2強調画像にてhigh intensityを呈し,脂肪抑制画像にて腫瘤内部の信号抑制を認め,更に造影効果が認められた.以上の検査所見より,脂肪成分を伴う腫瘤(lipoleiomyoma,lipoma,liposarcoma等)であることが示唆された.平成21年1月腹式単純子宮全摘術ならびに両側付属器切除術施行.術中所見は,腹腔内に癒着,腹水を認めず子宮体部に硬度軟の6cm大の腫瘤を認め,両側付属器は正常であった.病理組織診断はlipomaであった.【結語】超音波ならびにMRIにて,子宮体部に脂肪成分を認めた場合は極めて稀ではあるが,lipoleiomyoma,lipoma,liposarcomaといった疾患を鑑別する必要があると考えられる.子宮体部に脂肪成分を伴う腫瘤の鑑別疾患ならびに画像的特色そして文献的考察を行なった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
153-153, 2009
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