|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
優秀演題 腫瘍 再発婦人科癌の腸閉塞,瘻孔形成に対する緩和的消化管手術の意義
久慈 志保, 高橋 伸卓, 武隈 宗孝, 川口 龍二, 樋田 一英, 平嶋 泰之
静岡県立静岡がんセンター婦人科
【目的】婦人科癌の終末期患者は,腹腔内再発に起因する腸閉塞などを伴うとQOLが著しく低下する.今回我々は,このような症例に対して緩和目的に人工肛門造設術やバイパス術などを行うことの意義について検討した.【方法】2002年11月から2009年1月に腹腔内再発により腸閉塞や瘻孔形成をきたし緩和目的の手術を行った30例を対象とし,術後経過と予後について検討した.【結果】患者の年齢は56±16歳で,原疾患は卵巣癌14例,子宮頸癌11例,子宮体癌4例,子宮肉腫1例であった.手術の原因は腸閉塞23例,瘻孔形成5例(直腸膀胱膣瘻など),下血1例であった.術式は人工肛門造設術22例,バイパス術7例,小腸部分切除5例であった.手術時間は平均102分,出血量は平均46.3mlであった.術後から食事開始までの期間は平均3.6日で,83%(25/30例)の症例が全粥以上の食事が可能となった.術後に抗癌剤や放射線治療を行った症例は50%(15/30例)であった.術後の生存期間の中央値は10.5ヵ月(0.5-44.3ヵ月)であった.3ヶ月以内に死亡した症例は8例あり,その中の4例は術後退院できないまま死亡した.生存期間3ヶ月以上・以下で,年齢,原疾患,遠隔転移の有無,術前の全身状態,手術時間と出血量,食事開始までの期間などについて比較したところ,年齢(47歳対59歳 p<0.01)と肺・肝転移の有無(5/8例対0/22例 p<0.01)において有意差を認めた.【結論】婦人癌再発症例に対する緩和目的の消化管手術は,低侵襲な手術であり,食事摂取を可能にし治療の継続にもつながることが考えられたが,肺・肝転移のある患者に対してはその適応を慎重にしなければならないことが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
156-156, 2009
|