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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
妊娠2 妊娠高血圧症候群
分娩第2期に強直性痙攣を発症し,くも膜下出血と診断された1例


佐藤 茉弥, 中西 美紗緒, 水主川 純, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター戸山病院産婦人科


 【緒言】妊娠中のくも膜下出血(以下,SAH)などの脳血管疾患は全妊娠の0.01〜0.05%であり,発症した場合の予後は不良で,妊娠中の全母体死亡の5〜12%を占めると報告されている.今回,分娩第2期に強直性痙攣を発症し,急速遂娩にて生児を得た後にSAHと診断された1例を経験したため報告する.【症例】30歳,初産婦.前医で顕微授精にて妊娠成立した.当科にて妊婦健診施行し,経過は順調であった.妊娠41週3日,陣痛発来にて入院した.続発性微弱陣痛のため,分娩第1期に陣痛促進剤の点滴を開始した.一過性に頭重感と軽症高血圧(158/80mmHg)を認めたが,その他異常はなかった.分娩第2期に体位変換直後,全身性強直性痙攣が起こり,ジアゼパム10mg,硫酸マグネシウム4gを投与した.痙攣は直ちに消失し,鉗子分娩にて男児,2616g,Apgar Score1分値9点,5分値9点を娩出した.分娩直後の頭部CTで左頭頂後頭葉内側部から左迂回槽にかけるくも膜下腔に出血像を認め,SAHと診断し,脳神経外科医と相談の上,保存的治療を選択した.翌日頭部CTで血腫増大傾向を認めず,頭部MRAにて脳動脈瘤や脳動静脈奇形を指摘されず,表在血管破綻によるSAHと診断された.その後の経過は良好で,産褥8日目に母児ともに軽快退院した.【考察】分娩中は陣痛や怒責に伴い血圧が上昇し,脳血管障害を起こしやすい.また,脳血管障害を合併した際の臨床像は子癇と酷似し,鑑別が困難な場合がある.本症例は痙攣に対し,速やかな対応が可能であり,画像所見が有用であったと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 160-160, 2009


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