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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
妊娠2 妊娠高血圧症候群 画像診断が有用であった遅発性産褥子癇の2例
菅野 英俊1), 飯田 哲士1), 野路 千智1), 三塚 加奈子1), 貴家 剛1), 内田 能安1), 前田 大伸1), 三上 幹男2)
東海大学八王子病院産婦人科1), 東海大学医学部産婦人科2)
近年,子癇発作の病態は,脳血管攣縮による脳虚血性痙攣発作であるとの報告がなされ,reversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)の概念が提唱されている.その診断には,発作直後のMRI,ならびに脳血管撮影が有用とされている.今回,産褥子癇の2例を経験し,発症に際して家族および本人からインフォームドコンセントを得てそれぞれに対して画像検査を施行した.症例1は33歳0妊0経,39週2日,胎児機能不全のため緊急帝王切開施行.産褥4日,血圧上昇と痙攣発作を生じた.頭部MRIにおいて,左後頭葉,右側頭葉に高信号領域が散在し,RPLSの所見であった.硫酸マグネシウムおよび降圧剤投与と抗痙攣薬内服を開始した.治療後のMRIにてRPLSは消失した.症例2は31歳2妊2経,妊娠39週1日,正常分娩にて出産.産褥4日から頭痛を認めるも,精査にて明らかな原因を認めなかった.しかし,産褥11日,突然の意識消失と全身性痙攣を生じた.頭部MRIでは両側頭頂葉内側の急性期梗塞,右側頭後頭葉に静脈うっ帯による脳浮腫を認めた.脳血管撮影にて,上矢状静脈洞血栓と,びまん性脳血管攣縮を認めた.静脈洞血栓および子癇の診断により,硫酸マグネシウムの持続投与をDICに基づいた治療を開始した.産褥35日に施行した脳血管撮影では,血栓症,脳血管攣縮は消失した.産褥子癇は,分娩後48時間以内の発生が多いとされるが,遅発性に発症するものもあり,注意を要すると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
161-161, 2009
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