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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
妊娠2 妊娠高血圧症候群 鍼灸による骨盤位治療の取り組み 〜有効性と安全性の検討〜
南澤 潔1), 野島 俊二2), 金枝 貴史2), 野崎 紀子2), 岩垂 純平2), 吉越 信一2)
亀田総合病院東洋医学診療科1), 市立砺波総合病院産婦人科2)
【目的】骨盤位経腟分娩はリスクが高く,我が国でもACOG勧告以後多くの例で帝王切開が選択されている. しかしVBACが必ずしも一般的でない現状では,初産で骨盤位となった妊婦は生涯自然分娩を経験出来ないことになりかねない. そこで安全な胎位矯正法が求められているが,ECVは妊婦,産科医双方にリスクを伴い,胸膝位の有効性も十分とは言えない.一部では鍼灸治療が試みられているが,その効果に対する評価は未だ定まっておらず,この治療法が十分普及しているとは言えない. そこで今回我々は,自然分娩を希望する骨盤位妊婦に対する,鍼灸治療の有用性と安全性について検討した. 【方法】 28週から32週の単胎骨盤位妊婦のうち産科的に問題が無く,説明を受けた上で本人が治療を希望した妊婦を対象とした.手法は我が国で広く用いられる経穴(ツボ)である至陰(BL67)及び三陰交(SP6)に対する施灸及び灸頭鍼を主軸とし,2006年7月より開始して段階的に施術プロトコールに改良を加えた.2007年8月より改良プロトコールによる治療を約1年間継続し,その有用性と安全性について評価した. 【成績】 2007年8月より2008年8月末までに対象となった妊婦は51例で,このうち頭位に復帰したのは50例(98%)であった. この期間の分娩時に骨盤位であった妊婦は全体の1.9%(11/568)であり,過去15年間の平均2.7%に対して減少した. 治療に伴う有害事象は見られなかった. 【結論】 我々のプロトコールによる鍼灸治療は,骨盤位を理由とする帝王切開の減少に有効である可能性が示唆された.この方法は安全性が高く,また医療コスト,患者侵襲に対する改善効果が期待できる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
162-162, 2009
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