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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
分娩2 分娩時出血など
分娩後の弛緩出血のために子宮全摘施行後,Sheehan症候群に至った1例


島田 博美1), 立山 尚子1), 米澤 美令1), 柿栖 陸実1), 品川 寿弥1), 松島 隆1), 土居 大祐1), 可世木 久幸1), 朝倉 啓文1), 竹下 俊行2)
日本医科大学武蔵小杉病院産婦人科1), 日本医科大学産婦人科2)


 【緒言】分娩後の弛緩出血により子宮全摘を行い,術後Sheehan症候群に至った1例を経験したので報告する.【症例】36歳,未経妊.妊娠経過に特に異常なく,妊娠39週1日に前期破水で入院.分娩経過は良好で,3604g,男児を経膣分娩した(分娩所要時間;6時間20分).胎盤娩出後より弛緩出血のため,双手圧迫,子宮収縮剤投与,ヨードホルムガーゼ充填するが,子宮収縮は改善せず,出血量が3121mlと多く,止血を認めないため,緊急腹式単純子宮全摘出術を施行し,IUC管理となった.出血量は,分娩時・術中で4820mlであった.術前より,輸血療法として,赤血球濃厚液(RCC)20単位,新鮮凍結血漿(FFP)14単位,血小板濃厚液(PC)30単位投与した.術後経過良好につき,術後3日目より食事摂取開始したが,食思不振を訴え,全身倦怠感強く歩行もままならない状態であった.術後5日目より電解質異常(Na;125mEq/l,Cl;95mEq/l)認めた.補正するもコントロール不良で,術後8日目には,電解質(Na;110mEq/l,Cl;80mEq/l)となり内科受診した.症状,電解質異常よりSheehan症候群が疑われ,デキサメタゾン投与によるホルモン補充療法開始された.下垂体前葉ホルモンの低下,下垂体負荷テスト,MRI施行により,Sheehan症候群確定し,現在ホルモン補充療法により経過順調である.なお,術後より乳汁分泌は認められなかった.MRIでは典型的な下垂体壊死像であった.【考察】Sheehan症候群の早期症状として,乳汁分泌低下や全身倦怠感,電解質異常がある.このような症状は本症を考え対処することが重要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 163-163, 2009


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