|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
分娩2 分娩時出血など 帝王切開手術における,ラッププロテクターの使用経験
中山 毅, 石橋 武蔵, 田中 一範
総合病院静岡厚生病院産婦人科
ラッププロテクターは,円形リングを上下にもつ円柱状のシリコン製の創被覆材である.従来,開腹や腹腔鏡下手術などで小切開下に手術を行う際に,視野の確保や創部保護を目的として使用されている.今回我々は,開腹手術用に開発されたラッププロテクターを,帝王切開時に使用したので報告する. 帝王切開手術を施行する際にラッププロテクターを使用した.皮膚切開は12-13cm程度.腹部切開創の皮膚と腹膜を上下のリングで挟む様な形でラッププロテクターを容易に挿入.手術視野は楕円形で十分に広く,助手の介助は全く必要とせず,腹膜や子宮筋層を切開し,児を娩出することができた.術野が良好であるため,子宮筋層の縫合や癒着予防剤の貼付が非常に容易であったことが印象的であった. ラッププロテクターの利点として,1)素材の張力により比較的小さな切開でも,広い術野を得ることが可能,2)開創器は不要であり,少人数での手術操作も可能,3)開創器による創部の挫滅が軽減され,また切開創を密封できるので感染対策としても有用な点が挙げられる.人手が少ない中での緊急手術や,子宮内感染から創部感染のリスクがある時には,ラッププロテクターを使用することが特に有用ではないかと考えられた.また腹部横切開の際に,恥骨に近い場合には挿入が困難となったことがあり,皮膚の切開方法や,切開線の長さに応じたさらなる機器の改良も必要と感じられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
164-164, 2009
|