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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
分娩2 分娩時出血など 帝王切開術中に発症したラテックスによるアナフィラキシーショックの1例
宮田 あかね1), 大和 竜夫1), 高野 浩邦2), 小野寺 潤子1), 岡村 恵子1), 青木 陽子1), 今川 信行1), 木村 英三1)
立正佼成会附属佼成病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科2)
近年ラテックスアレルギーの患者は増加しており,治療中アナフィラキシーショックを発症する報告も散見される.今回われわれは,緊急帝王切開術中にラテックスに起因すると推察されるアナフィラキシーショックを発症したが救命し得た症例を経験したので報告する.症例は26歳0経妊0経産.手術歴はなく,既往歴として気管支喘息がある.妊娠39週6日で陣痛発来入院後,胎児心拍モニターにて胎児機能不全と診断,緊急帝王切開となった.麻酔専門医による脊椎麻酔により手術開始.手術開始5分後,児および胎盤を娩出した.Apgar Scoreは1分9点・5分9点であった.開始13分後,CEZ投与直後に患者は突然の全身掻痒感,呼吸困難感を訴え両手指の発赤・腫脹が顕著となった.NIBP80/38mmHg,HR110/分,SpO2 97%となり低血圧・頻脈からアナフィラキシー反応を疑い,CEZ点滴中止,酸素投与,メチルプレドニゾロンの静注を開始したが,NIBP69/38mmHg,HR112/分,SpO2 87%と改善せず気管内挿管した.挿管直後SpO2は56%,2分後もSpO2は59%台と酸素化能は改善せずエピネフリン0.3mgを筋注さらに中心静脈から持続点滴を開始した.挿管20分後手術終了,NIBP76/48mmHg,SpO2 99%,術後2日目に抜管,10日目には後遺症もなく退院した.当初,術中経過よりCEZに対するアレルギー反応と考えたが,その後ラテックス特異的IgE抗体の異常高値が判明,また患者は歯科衛生士としてゴム手袋にて皮膚炎の既往があることなどより,本症例のアナフィラキシーショックはラテックスによるものと診断した.国内外の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
164-164, 2009
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