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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
優秀演題 不妊・内分泌・その他 骨盤臓器脱に対するTension-free vaginal mesh(TVM)手術における術式の改変とそれに伴う予後の違い
西林 学, 永田 一郎, 三木 明徳, 岡垣 竜吾, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
【目的】TVM手術における術式の改変が術中合併症及び術後予後に与える影響について考察した.【方法】2006年12月から2008年9月に骨盤臓器脱症例に対しTVM手術を施行した107例を対象とし,膣壁剥離の際に恥骨頸部筋膜/直腸膣中隔をそれぞれ膀胱/直腸側につけた症例(A群)33例,恥骨頸部筋膜/直腸膣中隔を膣壁側につけた症例(B群)74例について,手術時間,術中出血量,術中合併症及び術後の性器脱再発,腹圧性尿失禁(SUI),メッシュびらんの発症について比較した.解析にはWelchのt検定(両側検定)等を用いp<0.05を統計的に有意とした.【成績】両群間で年齢,経産回数に有意差なし.手術時間はA群125.0±37.6分と比較してB群では105.4±41.4分と有意に短く,出血量もB群で有意に少なかった(134.5±127.5g vs 44.9±58.4g).術中合併症として,膀胱損傷はA群で1例(3.0%),B群で5例(6.8%)とB群で有意に高率に認めた.直腸損傷はA群では認めず,B群で1例(1.4%)認めた.術後3ヶ月以上経過した症例について検討したところ,Baden-Walker scoreでgrade2以上の性器脱の再発率および術後SUI発症率には両群間に有意差を認めなかった.メッシュびらんはA群では4例(12.1%)に認め,そのうち2例は切除術を要したが,B群では2例(2.7%)と有意に発症率が少なく,いずれも保存的治療で治癒した.【結論】術後の性器脱やSUIの発症率に両群間の差を認めなかったが,B群の方がより手術が容易であり,さらにメッシュびらんの発症も抑えうることがわかった.一方,術中臓器損傷はB群の方が多いことも判明した.これらはいずれも恥骨頸部筋膜/直腸膣中隔の剥離方法の工夫などにより改善可能と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
165-165, 2009
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