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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
優秀演題 不妊・内分泌・その他 腹腔鏡手術砕石位による術後末梢神経障害防止の試み
宮部 勇樹, 望月 亜矢子, 中村 友紀, 竹内 欽哉, 伊東 宏晃, 杉原 一廣, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
婦人科腹腔鏡手術においては子宮マニュピレーターの挿入などの経膣操作は不可避であるため砕石位を用いられることが多い.しかし,砕石位による一時的な感覚神経障害の発生は1.5%,また不可逆的な運動神経障害は0.03%に発生するとの報告がある.これらが一時的なものであっても術後の患者のQOLを損ね,また手術の結果自体は順調であってもその後の患者との関係に悪影響をもたらす可能性がある.そのため砕石位の位置決めを行う際には下肢の進展,屈曲,回旋の角度に十分な注意を要する.我々は以前,手術遂行に至適であるという観点のみで砕石位の位置決めを行っていたが,少ないながら術後の一過性感覚神経障害が発生していた.そのため今回手術遂行の妨げにならず,かつ術後の末梢神経障害をできる限り減少させることを目的として,至適な砕石位の位置決めを定型化しより安全な手術を行うことを試みた.具体的にはBarnettらの総説(J Minim Invasive Gynecol.2007;14:664-672)をもとに砕石位の体位の位置決めを行った.対象は2008年1月からの当科での腹腔鏡手術症例97例であり,何れも術前に下肢の進展,屈曲,回旋の角度を手術室に掲示したイラストと適合させて体位を決めた.これらの術後末梢神経障害の発生率は0%(0/97例)であった.定型化する以前の当科での腹腔鏡手術症例の術後末梢神経障害の発生率1.9%(2/105例)と比較して,これらの合併症を減少できる可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
167-167, 2009
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