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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
優秀演題 不妊・内分泌・その他 モルセレーターによる外腸骨動脈損傷を来した1例,および当院での腹腔鏡下手術における合併症の検証
岡本 真知1), 吉田 浩1), 古野 敦子1), 榎本 紀美子1), 鈴木 靖子1), 佐藤 綾1), 平原 史樹2), 石川 雅彦1)
横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科1), 横浜市立大学産婦人科2)
腹腔鏡下手術における合併症はその低侵襲性に反し重篤なものとなる場合がある.今回我々は,モルセレーターによる外腸骨動脈損傷を経験したので報告する.さらに,当科における過去3年間の腹腔鏡下手術に関する合併症について調査し,今後の対策について考察した.「症例」43歳 1回経妊0回経産 約10cm大の漿膜下筋腫に対し腹腔鏡下筋腫核出術を行った.筋腫を核出し体腔外へ搬出する際,モルセレーターで外腸骨動脈を損傷し強出血を来した.直ちに開腹し,血管縫合術が行われた.計3600mlの出血となり大量輸血を要したが,術後経過は順調であり後遺症なく術後8日目に退院した.「結果」2006年1月から2008年12月までの3年間に当科で行った腹腔鏡下手術455例中26例で術中あるいは術後合併症を来し(5.71%),内訳は他臓器損傷3例,開腹移行8例,輸血5例,皮下気腫3例,術後出血11例,再手術7例,(重複あり)であった.他臓器損傷は,LAMでの腸管損傷,LHでの膀胱損傷および本症例の3例であった.開腹移行例8例のうち,高度癒着や気腹下の麻酔管理困難例が5例を占めたが,TLH症例における止血困難例を2例経験した.輸血例は2例ありLMでの止血操作に難渋した結果LAMに変更した例,および本症例であった.術後出血例は11例で,このうち6例が再手術を要した.6例のうちトロッカー刺入部からの出血が3例,LCの核出部縫合不全が2例,癒着剥離部からの出血1例であった.「考察」不可避の偶発的な合併症を皆無にすることは難しいが,手術手技の改善や合併症発生要因への十分な認識により合併症発症率を減少させることは可能だと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
167-167, 2009
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