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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
胎児異常2 頭部 胎児舌下嚢胞の1例
田丸 俊輔1), 小野 恭子1), 北 麻里子1), 堀越 嗣博1), 高木 紀美代1), 菊池 昭彦1), 宮下 進2)
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科1), 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター新生児科2)
【緒言】胎児舌下嚢胞は非常に稀である.疾患によって治療法は異なり,発生部位,大きさによっては嚥下,構音,呼吸障害の可能性がある.このため,出生前診断が非常に重要である.今回我々は,妊娠37週の超音波検査で発見された,胎児舌下嚢胞の1例を経験したので報告する.【症例】36歳,0経妊0経産.自然妊娠後妊娠経過は順調であった.妊娠37週の前医での定期健診時に,胎児舌下に19mm大の無エコー領域を指摘され,当科紹介となった.超音波検査で舌下に舌と連動する19×20mm大で単房性の嚢胞構造を認め,胎児MRI検査で嚢胞内容はT2強調画像で高信号,拡散強調画像で無信号であり,ガマ腫が最も疑われた.画像上は,胎児の気道閉塞はないと考えられたため,自然陣痛の発来を待って経腟分娩の方針としていたところ,妊娠40週5日に経腟分娩となった.児は3102gの女児で,Apgar scoreは9/9であり,呼吸障害は認められなかった.日齢10のMRIでも,出生前と同様に,児の舌下部正中にT2強調画像で高信号を示す11×17mm大の嚢胞構造を認めた.児は哺乳状況,全身状態ともに良好であり,日齢14に退院となった.出生後半年頃に,嚢胞の硬化療法を施行予定である.【結論】胎児舌下嚢胞の診断に胎児超音波検査,MRI検査が有用であった.疾患自体は非常に稀であるが,出生直後よりの迅速な管理が要求される場合があるため,発生部位や周辺臓器との位置関係などの,正確な出生前診断が重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
170-170, 2009
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