|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
胎児異常3 腹部 著明な羊水過多を来たし,急性胎児機能不全に至ったCongenital mesoblastic nephloma(CMN)の一症例
西村 修, 宮村 浩徳, 井口 蓉子, 松島 実穂, 落合 大吾, 森定 徹, 矢久保 和美, 福井谷 達郎
さいたま市立病院周産期母子医療センター産婦人科
Congenital Mesoblastic Nephloma(CMN)は,中胚葉性腎腫瘍であり予後良好な疾患とされている.本疾患は,羊水過多を高率に合併するがその病態は不明である.今回我々は,著明な羊水過多を来たしたCMNの1例を経験したので報告する.患者は29歳の1経妊1経産婦.前医で妊婦健診にて通院していたが,特に異常を指摘されていなかった.妊娠28週4日,腹部緊満感を認め羊水過多および切迫早産の診断にて緊急入院となり,翌日に精査管理目的にて当院へ母胎搬送となった.当院での超音波断層検査では,AFIが42.1cmと高度羊水過多を呈し,また胎児左側腹部に50.7×46.9mmの境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.以上の画像所見からCMNを強く疑った.搬送時のCTGは,reassuaring patternであったが,翌朝のCTGでは,細変動の消失および胎児徐脈を認め,non-reassuring fetal status(NRFS)と判断し,緊急帝王切開術を施行した.児は1158gの男児で,Apgar scoreは1/5であった.出生後直ちに気管内挿管となり,NICU管理となった.出生時より多尿,高血圧および高レニン血症を認めた.その後さらに症状が増悪傾向を示したため,内科的な治療が困難と判断し,日齢5日目に左腎臓摘出術を施行した.病理診断は,CMN,classic typeであった.術後1日目には,血圧および尿量も正常化し,日齢92日目に退院となった.本症例がNRFSに至った原因は不明であるが,出生前にCMNを疑った場合は,羊水過多に起因する切迫早産管理に加え,胎児評価を含めた厳重な周産期管理が必要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
170-170, 2009
|