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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
子宮頸癌,子宮体癌 一般女性,娘を持つ母親を対象とした子宮頸癌疾患認知度,予防ワクチンの接種意向に関する調査
小塙 清
医療法人小塙医院つくばARTクリニック産婦人科
【目的】子宮頸癌は,HPVの感染で引き起こされる癌であることは周知の事実であり,特にHPV16型および18型は頸癌全症例の原因の70%を占める.最近,2価のL1ウィルス様粒子ワクチンが欧米で使用され,接種後1年以内に抗体が100%検出されたことが報告されている.このワクチンに対する従来の本邦女性のアンケート結果では,頸癌の認知度,癌検診受診率,ワクチン接種希望度とも低いとされている.今回,一般女性,娘を持つ母親を対象とした頸癌疾患認知度,ワクチンの接種意向に関する調査を施行し,日本での性教育,自身の健康に対する自覚についても考察した. 【方法】(1)小・中学校の性教育講座後,娘を持つ母親28〜51歳100名(2)婦人科受診者17〜60歳(イ)配偶者有70名(ロ)配偶者無30名にアンケートを実施した.調査地域は茨城県,調査期間は2008年9〜12月であった.内容は,頸癌認知度および頸癌検診に関して,頸癌およびワクチンの説明文に対する患者の理解度,ワクチン接種希望度とコストによる意識変化など12問とした.なお性教育講座は文部科学省教育用語集を使用した. 【成績】30歳以下では頸癌に対する認知度が低かった.31歳以上では頸癌に対する認知度は高かったが,そのうち独身者は予防に対する関心が低かった.31歳以上の既婚者は頸癌認知度が高く,予防に対する関心も高かった.ただしそのコストにより,子供を持たない既婚者のワクチン接種希望に変化はなかったが,娘を持つ母親本人の希望は低くなり娘に対する希望は変らなかった. 【結論】教育用語を改訂した性教育講座の普及と適正なワクチンのコスト設定が必要と思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
173-173, 2009
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