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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
子宮頸癌,子宮体癌 子宮ポリープ状異型腺筋腫が悪性化した1例
有澤 正義1), 佐久間 有加2), 藤村 尚代2), 石毛 英男2), 遠藤 信夫2)
千葉労災病院病理1), 千葉労災病院産婦人科2)
子宮ポリープ状異型腺筋腫(atypical polypoid adenomyoma,以下APAMと略す)は不正性器出血を主訴とする子宮の珍しいポリープ状病変である.病理組織学的に,子宮内膜の増殖する上皮性成分と平滑筋の増殖する間葉性の成分の混合腫瘍である.APAMは良性と報告されており,境界明瞭であると考えられている.今回われわれは,APAMから発生したと考えられる浸潤性の子宮内膜癌を経験したので報告する.症例は46歳未産婦.身長149.5cm,体重66.0kg.既往歴に高血圧や糖尿病などはない.不正性器出血を主訴として近医受診.近医の内膜細胞診でclass Vを指摘されたので当院産婦人科に紹介される.当院の子宮内膜細胞診,組織診で子宮内膜増殖症およびAPAMを疑った.画像上は子宮底部から発生する腫瘍で,ポリープ状.ポリープの先端は不明瞭な像を示した.当院の術前の細胞診,組織診では明らかな悪性とは断定できなかった.前医での細胞診の結果,臨床経過,画像所見を加えると悪性腫瘍を否定することができなかったので単純子宮全摘術を施行した.摘出臓器の病理診断は子宮腺筋症を背景にAPAMから発生した子宮内膜癌であった.浸潤は腺筋症を伝わり筋層の1/2を超え認められた.深部ではクラスター状の癌を筋層内に認めた.(類内膜腺癌,Grade 2,ly0,v0,depth c).本例はAPAMから発症した子宮内膜癌である.術前の細胞診,内膜組織診と手術材料に差があるのは,術前に採取された部によると考えられる.たいへん稀な悪性化したAPAMを経験したので,段階的に悪性化する組織所見および文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
175-175, 2009
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