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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
卵巣癌1 傍大動脈リンパ節単独転移のみられたpT1c上皮性卵巣癌の1例
厚木 右介, 高橋 佳容子, 大和田 倫孝, 若佐谷 敦, 桑田 吉峰, 山田 哲夫, 佐藤 郁夫
国際医療福祉大学病院産婦人科
上皮性卵巣癌において傍大動脈リンパ節は所属リンパ節であり,staging laparotomyのためには傍大動脈・骨盤リンパ節の系統的郭清が必要である.われわれはpT1c上皮性卵巣癌に対して系統的郭清を行い,傍大動脈節1個のみに転移のみられた症例を経験したので報告する.症例は39歳,2経妊2経産の主婦.主訴:腹部膨満感.2008年10月頃より腹部膨満感を自覚したため近医を受診し,卵巣腫瘍の診断で当科を紹介された.来院時の所見として,腹部には臍上5cmに達する軟部腫瘤が触知された.超音波検査およびMRIでは約20cm大に至る多房性腫瘤がみられ,一部に造影効果のある充実性成分が確認されたため悪性腫瘍が示唆された.胸・腹部CTでは遠隔転移は見られなかった.腫瘍マーカーではCA125が264 IU/mlと高値を示した.卵巣癌の診断で11月開腹手術が施行された.腹腔内には約200mlの淡黄色の腹水が存在し,悪性細胞が確認された.原発は右卵巣で被膜浸潤があり,また左卵巣表面に播種巣がみられた.術式として両側付属器摘出,子宮全摘,大網切除および系統的傍大動脈・骨盤リンパ節郭清が実施された.組織学的には漿液性腺癌で,右傍大動脈節に1個のみ転移がみられた(pT1cN1M0).術後にパクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法を追加した.傍大動脈リンパ節の郭清は比較的高度な技量を要するため実施しない施設もあるが,本症例のような事例もあり,正確なstaging laparotomyのためには傍大動脈・骨盤リンパ節の系統的郭清の必要性を再認識した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
176-176, 2009
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