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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
卵巣癌2 卵巣癌に対し化学療法を行い奏功したが,Stevens-Johnson症候群により救命しえなかった1例
金野 潤, 橋本 和法, 土山 哲史, 野村 秀高, 宮原 優子, 吉形 玲美, 石谷 健, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
卵巣癌に対し化学療法が著効したが,DICおよびStevens-Johnson(SJ)症候群のため救命しえなかった症例を経験したので報告する.症例は71歳,下腿浮腫・上腹部違和感を主訴に消化器内科を受診.経腹エコーにて腹水貯留,CA125:8875 U/mlと高値を認め卵巣癌疑いにて当科へ紹介.画像検査では小骨盤後方に腫瘤,傍大動脈リンパ節腫大,右乳腺に腫瘤を認め,子宮内膜細胞診ではclassVであった.また,右乳腺生検では腺癌であった.原発巣検索目的の手術のため入院し,左付属器切除,大網部分切除施行.また腹水9Lを吸引した.病理組織診断は卵巣漿液性腺癌であり,乳腺転移も認めていることからIV期の診断.術後DC1コース目を施行.投与後5日目より好中球減少および発熱を認め,G-CSFおよび抗生剤の投与を開始.また,抗がん剤投与後徐々に腎機能の悪化を認め,抗がん剤投与後26日目に代謝性アシドーシスをとなり週2回の透析療法を行うこととなった.腹水および胸水のコントロールが困難となり,根本的な治療として化学療法を選択することを,ご本人およびご家族の同意の上DC2コース目を施行した.投与後5日目に再び好中球の減少と,発熱を認め,さらに,腹水貯留による呼吸不全となりICUにて挿管管理となった.投与後14日目に血小板の低下を認め,DIC(score 5点)と診断.また,前胸部,腹部に発赤,水疱を認めるようになり皮膚科へコンサルトし,SJ症候群と診断された.投与後15日目に白血球の増加,血圧低下を認め,翌日永眠された.剖検では肉眼的に腹腔内には腫瘍塊を認めず,また病理学的にも悪性所見は認めなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
178-178, 2009
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