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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
卵巣癌2 AFP,hCGが陰性であった卵巣未熟奇形種の一例
桑原 知仁, 三浦 敦, 岩井 拓磨, 渡邊 健一郎, 市川 雅男, 黒瀬 圭輔, 石川 温子, 米山 剛一, 明楽 重夫, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
卵巣未熟奇形腫は卵巣奇形種のうち約3%と比較的希な腫瘍で,発症年齢は10歳から33歳であり通常AFP,hCGの上昇を伴い本疾患を疑うことが多い.今回我々はAFP,hCGが共に陰性でGlial implantを認めた卵巣未熟奇形腫の1例を経験したので報告する.【症例】9歳女性.月経未発来.【既往歴】気管支喘息.【原病歴】平成21年1月頃より家族が腹部腫瘤に気付いていたが全身状態良好のため経過をみていた.2月1日38.9℃の発熱にて近医を受診したところ腹部腫瘤及び腹水を指摘され当院小児科紹介受診となった.腹部CT検査にて卵巣腫瘍が疑われたため当科紹介.MRIでは腹部を占拠し,一部脂肪成分や石灰化を含む20cm大の多房性の充実性構造を認めた.血液検査ではCEA,NSE,CA19-9,CA125は高値でAFP,hCGは陰性であった.2月17日開腹手術を行い,成人頭大に腫大した左卵巣と,播種性に腫瘤がみられ卵巣と強固な癒着がみられた大網の部分切除を行った.病巣はほかに横隔膜下,ダグラス窩,膀胱子宮窩,傍直腸脂肪織など広汎にみられた.病理診断は左卵巣未熟奇形腫(Grade1,臨床進行期Ia)であり腹水細胞診はClassII,播種性腫瘤はglial implantで未熟な成分はみられず多数のグリア結節を認めた.病理組織診断の結果を踏まえて追加化学療法は行わず現在外来経過観察となっている.卵巣未熟奇形腫の診断における腫瘍マーカーの特徴,画像所見などについて文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
179-179, 2009
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