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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍,その他1 在宅緩和ケアにおけるPCA機能が付随した携帯型精密輸液ポンプの使用経験
松永 竜也1), 今井 一章2), 平岩 由紀子1), 小平 博1), 今井 一夫3)
横須賀市立市民病院産婦人科1), 横須賀市立市民病院初期臨床研修医2), 今井ウィメンズクリニック産婦人科3)
終末期癌患者が自宅で最期を迎えたい,家族が看取りたいと漠然と思っていても,実際在宅緩和ケアを行うには様々な問題がある.ソフト面では家族の理解と協力は必須であり,医療側との連携の窓口として在宅訪問看護師の役割も大きい.一方,ハード面では点滴管理や麻薬を用いた疼痛管理における各種機器の導入が必要となる.我々はPCA機能が付随した携帯型精密輸液ポンプを用いて塩酸モルヒネ静注をレスキューとして使用し,在宅で比較的安全にかつ十分な疼痛管理を行うことができたので,その経験を報告する.【症例】60歳 平成12年より肺癌4期で呼吸器科にて化学療法を繰り返し,担癌生存の状態であった.婦人科では平成17年より子宮頸部腺癌3期で手術後仙骨部に再発し,同部位への放射線化学療法の効果はSDであった.平成20年より癒着性イレウスを繰り返す様になり,両疾患に対する治療を望まなくなり,緩和ケアが中心となっていた.栄養管理は静脈ポート留置による在宅中心静脈栄養,腎後性腎不全に対して両側腎瘻造設,疼痛管理はフェンタニルパッチ及びレスキューはモルヒネ水内服で行った.しかし,疼痛増強に伴い,モルヒネ水によるレスキューでは不十分で,塩酸モルヒネ静注への変更を考えた.レスキューも含めたモルヒネ静注を在宅で管理するのは経験もなく,リスクが高いと考えたが,患者や家族の在宅ケアへの希望が非常に強かった事に加え,PCA機能を付随したポンプの存在を知った事もあり,ポンプを導入し,在宅ケアを継続した.レスキューの空打ち回数を参考に維持量300mg/日,レスキュー28mg/回で十分な疼痛管理が可能であった.最終的には在宅ケアへ移行して約6ヶ月後自宅で永眠された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
181-181, 2009
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