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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍,その他1 直腸膣中隔に発生し,婦人科を初診したGISTの2例
手塚 真紀1), 佐藤 香央里1), 樋口 紗恵子1), 後藤 美希1), 曾根 献文1), 坂巻 健1), 小林 浩一1), 北村 成大2), 山名 哲郎3), 岡本 欣也3), 佐原 力三郎3)
社会保険中央総合病院産婦人科1), 社会保険中央総合病院大腸肛門病センター2), 社会保険中央総合病院病理3)
GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor)は平滑筋由来であり,食道から直腸までの全消化管に発生する.発生頻度は100万人対20人/年と推測されている.発生部位は,胃が全GISTの60〜70%を占め,小腸20〜30%,食道5%,大腸5%であるが,今回我々は直腸膣中隔に発生し,膣側に突出していた為に婦人科疾患を疑われたGIST2例を経験したので報告する.症例1 54才 2経妊2経産10年前より自覚した会陰を圧迫する腫瘤を主訴に当院大腸外科受診.腫瘤が後膣壁に突出していた為,婦人科疾患を疑われ当科紹介受診.内診にて後膣壁に3×2cm大の硬い腫瘤を触れた.直腸診でも腫瘤を触れたが粘膜はintactであった.腫瘍の可動性が良く,大きさからも膣壁からの局所切除が可能と考え,摘出術施行.病理診断はGISTであった.現在術後3年,再発兆候なく経過観察中である.症例2 58才 3経妊3経産7ヶ月前より会陰圧迫感を自覚.疼痛出現し,近医肛門科を受診.後膣壁に突出する腫瘤を認め,婦人科疾患を疑われ,当院当科紹介受診となった.内診にて後膣壁に5×3cm大の硬い腫瘤が存在し,所見が症例1に酷似していた為,直腸膣中隔GISTを疑った.18G生検用針にて生検,病理診断はGIST of rectum suspectであった.症例1より腫瘍が大きく,直腸の損傷を生じる可能性が高かった為,一時的人工肛門管理の方針とし,経膣的腫瘍摘出術及び人工肛門造設術施行.その際,直腸に直径1cmの欠損を生じ修復.病理診断はGISTであった.現在術後2年,再発兆候なく経過観察中である.まとめ今回我々は直腸膣中隔に発生したGISTの2症例を経験した.後膣壁に突出した子宮筋腫様の腫瘍を発見した場合,GISTも考慮する必要があると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
182-182, 2009
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