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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍,その他2 子宮頚部と腟壁のコンジローマ様癌の一例
松本 譲二1), 岡垣 竜吾2), 伊藤 百合子2), 高橋 通3), 永田 一郎2)
小川赤十字病院産婦人科1), 埼玉医科大学産婦人科2), 熊谷総合病院産婦人科3)
HPV感染の際に生じる扁平上皮の異形成は高度になるとコイロサイト―シスは少なくなる.一方,コンジローマ様癌は癌細胞にコイロサイト―シスを認める稀な疾患である.今回,子宮頚部と腟壁のコンジローマ様癌の一例を経験したので報告する. 症例は77才,2経産,特記すべき既往歴はない.他医にて子宮頚部細胞診クラス3a-3b,HPV-DNA陽性のため経過観察,細胞診クラス4となったため手術目的で当科紹介となる.肉眼的にもルゴール染色でも病変は明瞭でなく,コルポスコープでも子宮腟部,腟壁上部にはっきりした異常所見は認めなかった.SCC抗原1.0ng/ml,子宮腟部生検でコンジローマ様癌の疑いあり準広汎子宮全摘出術を施行し,Vaginal cuffは2cm切除した.切除標本には9個の点状のコンジローマ様癌をみとめたが,そのうちの1個の病巣から腟断端までの距離は1mmであった.そこで3週間後,腟壁上部3分の1を切除した.なお高度の腹圧性尿失禁もあったためTVTも併行した.術中迅速組織診断で切除した腟壁に点状の病巣を多々認め,さらに腟壁を切除し,結果的には前壁下部の腟壁以外のすべての腟壁を切除した.病変はVAIN好発部位の腟上部後壁3分の1のみならず,腟壁全域に点状の病変としてコンジローマ様癌を認め,上皮内癌の形態であった.Ki-67 labelling index>95%,p53 over-expression(+)であった.術後腹圧性尿失禁は著明に改善され,腟細胞診,CTによる画像診断では異常を認めていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
183-183, 2009
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