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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍,その他2 TC療法によるHypersensitivity Reactionsの2症例
野路 千智1), 菅野 秀俊1), 三塚 加奈子1), 飯田 哲士1), 貴家 剛1), 内田 能安1), 前田 大伸1), 三上 幹男2)
東海大学八王子病院産婦人科1), 東海大学医学部専門診療学系産婦人科2)
【緒言】TC療法における過敏性反応(hypersensitivity reactions:HSRs)としてはパクリタキセルによるものが多く報告されているが,カルボプラチンによるものも存在する.これらは前投薬を行ってもしばしば発生し,時にレジメンの変更や中止に至る場合もある.今回我々はTC療法施行中にHSRsを発症した2症例を経験したため文献的考察も加えて報告する.【症例1】57歳,卵巣癌および癌性腹膜炎による腹水の貯留を認めたため術前化学療法としてTC療法(180mg/m2,AUC6,3週毎)を施行した.施行直後に症状の出現は認めなかったが投与5日目に顔面の紅潮や全身の掻痒感,小丘疹の出現を認めた.対症療法にて自然軽快し3週間後に2クール目を施行したが,やはり4日目に同様の症状が出現したため,パクリタキセルによる遅発性の過敏性反応の可能性が考えられた.【症例2】49歳,卵巣癌の診断にて手術施行され,術後化学療法としてTC療法が6クール施行された.その後経過観察中に再発したため,再びTC療法が施行されたが,2クール目のカルボプラチン投与時に突然の嘔気・嘔吐・喘息様の発作を認めた.カルボプラチンによる過敏性反応が考えられたため,直ちに投与中止し,抗ヒスタミン剤,ステロイドの投与を行った.【考察】TC療法によるHSRsには様々な症状があり,多くは投与後5-10分後に発生することが多いが,中には数日たってから症状が出現する遅延型も認められる.また,一般にTC療法のHSRsとしてはパクリタキセルによるものが多いとされているが,カルボプラチンに対するものも存在しており,パクリタキセルと異なり投与回数を重ねることによって頻度が増加することが特徴である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
184-184, 2009
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