関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
妊娠3 合併症妊娠1
分娩翌日に遷延性低血糖昏睡で発症したACTH単独欠損症の一例


西村 良平, 加藤 清, 佐近 普子, 武田 哲, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科


 ACTH単独欠損症は,全身倦怠感,低血糖,低ナトリウム血症などがみられる疾患で,妊娠に合併した報告はきわめて稀である.今回我々は,分娩翌日に意識障害,低血糖を認めACTH単独欠損症と診断した一例を経験したので報告する.症例は29歳の1回経産婦で第1子妊娠,分娩経過に異常はなかった.妊娠32週に発熱を伴った切迫早産で某医に入院後,陣痛が発来したために32週4日,当院に母体搬送となった.入院時体温は37.8度で未破水の状態であり,分娩まで収縮期血圧は90台で経過した.同日1982gの男児を娩出し,分娩時出血は480gであった.患者は分娩翌日朝に昏睡状態となっているところを発見された.血圧は157/68であり脳出血などを疑い精査を行ったところ,血糖が26mg/dlと著明に低下していることが判明した.ブドウ糖を静脈投与したが低血糖,意識障害が遷延し,デキサメタゾン投与によりようやく血糖の維持が可能になり,分娩後2日目に意識障害の改善を認めた.低血糖時の血液検査ではインスリンは測定感度以下,ACTHが測定感度以下,コルチゾールは2.2μg/mlであったため,ACTH単独欠損症が疑われた.ホルモン負荷検査ではCRH試験でACTHの反応は認められず,コルチゾールも測定感度以下であった.GRF試験でGHがやや低反応,TRH試験ではTSHの反応は保たれていた.下垂体MRIでは前葉はやや小さいが明らかな異常信号は認めなかった.発熱,分娩を契機に顕在化したACTH単独欠損症と考えられた.周産期に意識障害を発症した患者の鑑別疾患として,低血糖を合併する疾患を念頭に置くことが重要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 186-186, 2009


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会