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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
妊娠3 合併症妊娠1
妊娠に合併した原発性副甲状腺機能亢進症の1例


竹中 将貴1), 杉浦 健太郎1), 鈴木 二郎1), 武隈 桂子1), 高尾 美穂1), 松本 隆万1), 礒西 成治1), 落合 和彦1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学附属青戸病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学附属病院産婦人科2)


 原発性副甲状腺機能亢進症合併妊娠はまれであるが,母体・胎児ともに重篤な合併症を併発する可能性が高いことが報告されている.本症例は,妊娠初期に重症妊娠悪阻・体重減少にて紹介され,精査の結果,原発性副甲状腺機能亢進症合併妊娠と診断された1例である.<症例>32歳5経妊3経産,主訴は悪心嘔吐,体重減少(10kg)を認め,前医にて入退院繰り返したが症状は改善せず,精査加療目的に紹介.重症妊娠悪阻として直ちに治療を開始したが,初診時の採血にて高カルシウム血症(16.7mg/dl)を認め,副甲状腺機能亢進症を疑い検査を実施した.その結果,PTHインタクト93pg/ml,頚部MRI検査にて左副甲状腺腫を認め,副甲状腺機能亢進症合併妊娠と診断した.まず保存的治療として輸液3000ml/日を施行したところ,血中カルシウム値は10.2mg/dlと改善,自覚症状も軽快した.胎児超音波検査にて,正常発育を確認し退院となった.しかし,退院8日後に,再び重症の悪心嘔吐・食欲不振を認め再入院となった.症状の改善乏しく,妊娠17週1日で左副甲状腺腫瘍摘出術を施行した.術後病理検査の結果,Parathyroid adenomaと診断した.再入院時の血中カルシウム値は14.2 mg/dl,術後1日目は7.1 mg/dlと速やかに低下し,同時に悪心嘔吐,食欲低下も改善した.術後,低カルシウム血症はグルコンサンカルシウムにて補正.カルシウム値が安定した後は,アルファカルシドール内服に変更したが,妊娠21週には,カルシウム値9.6 mg/dlであり,内服を中止した.現在は自覚症状も特に認めず,胎児発育も良好であり,外来にて定期的に妊婦健診中である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 187-187, 2009


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