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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
妊娠4 合併症妊娠2 ATIII欠損症に伴う深部静脈血栓症合併妊娠の一例
寺門 千華, 加塚 祐洋, 伊東 陽介, 芥川 修, 金 成一, 舟山 仁, 井坂 惠一
東京医科大学病院産婦人科
先天性ATIII欠損症は1965年にEgbergにより報告され,常染色体優性遺伝の形式をとる疾患である.本疾患は妊娠・分娩,手術等を契機に血栓症が発症し,発見される事が多い疾患でもある.発症頻度は1/630人であり,血栓症状をきたすものはそのうち3〜5%と報告されています.今回我々はATIII欠損症に伴う深部静脈血栓症合併妊娠の一例を経験したので報告する.症例は35歳1回経妊1回経産.近医にてATIII欠損症を指摘されていた.自然妊娠後近医受診,ATIII欠損症を合併しているため当院を紹介受診となる.当院初診後より外来にてヘパリン療法を開始した.その後胎児発育を含め妊娠経過は順調であったが,妊娠29週左下肢の腫脹と疼痛を認めた.超音波断層法にて母体左総腸骨静脈に血栓をみとめ入院となった.入院後ATIII投与の開始,ヘパリン10000単位から15000単位/dayにてコントロールを開始した.その後の妊娠経過も順調であり,血栓上端は下大静脈には伸展していなかった.ATIIIも70%を維持していた.妊娠37週分娩方法について血管外科との協議の結果,妊娠38週時にインフォームド・コンセントのうえ,下大静脈フィルターを挿入して帝王切開術を施行した.児は2374gの男児をAps 8点にて娩出した.産褥2日目よりワーファリン服用開始,産褥4日目にフィルター抜去.産褥12日目に母児ともに退院となる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
188-188, 2009
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