|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
妊娠4 合併症妊娠2 産褥期に精神科入院を余儀なくされた精神疾患合併妊娠の3症例の検討
綱脇 智法, 橋口 和生, 真山 麗子, 澁谷 裕美, 和地 祐一, 谷垣 伸治, 酒井 啓治, 岩下 光利
杏林大学産婦人科
「はじめに」当院で平成20年1年間に扱った精神疾患合併妊娠は28例で全出産(978例)の3%に相当し,頻度の高い合併症妊娠の1つである.今回,産褥期に重症化し,精神科入院治療を必要とした3症例を提示し,産前,産後の発症関連因子と予防法に関して検討する.「症例1」41歳,初産婦.非妊娠時に統合失調症治療歴あり.妊娠中,薬物治療中止したが,再発認めなかった.妊娠41週で鉗子分娩後,産褥3日目より入眠傾向,無表情,発語なく,食事摂取と排泄の拒否の再発症状を認め,精神科入院治療となる.産後1年3ヵ月現在,精神科通院中で母児分離状態にある.「症例2」32歳,初産婦.非妊時に躁うつ病治療歴と自殺未遂歴あり.妊娠中,治療自己中止したが症状再発は認めず,妊娠41週に分娩停止で帝王切開施行,産褥11日目より多弁,多動,情緒不安定,不眠,思考錯乱等の症状出現し,再発のため精神科入院治療となる.産後1年現在,精神科通院中で母児分離状態にある.「症例3」27歳,初産婦.躁うつ病治療歴あり.妊娠中は未治療で再発も認めなかった.妊娠39週正常分娩.産褥7日目より,多弁,多動,不眠,思考錯乱等の症状出現し,精神科入院管理となる.産後1年現在,精神科外来通院中で症状は安定している.「結語」3症例とも精神疾患既往歴があり,妊娠中未治療で,産後急激に再発している.何れの症例でも既往歴を考慮し分娩前後の十分な観察と分娩直後からの精神科との連携が発症予防や軽減につながることが示唆される.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
190-190, 2009
|