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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
妊娠5 合併症妊娠3
子宮筋腫核出術既往妊婦に発症したイレウスの2症例


小林 裕子, 長田 亮介, 山田 靖, 小原 久典, 菊地 範彦, 大平 哲史, 芦田 敬, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科


 妊娠中のイレウスの原因として手術による腸管の癒着が重要である.今回,子宮筋腫核出術の既往のある妊婦に発症したイレウスを2症例経験したので報告する.【症例1】36歳の初産婦で35歳時に筋腫核出術を受けた.前医にて不妊症治療を受け2絨毛膜性の双胎妊娠が成立した.妊娠24週2日,腹痛にて前医を受診し入院となった.入院後腹痛は増強し,はき気や発熱,炎症反応の上昇も認め,妊娠25週3日,当科へ母体搬送となった.腹部単純写真では拡張した腸管とniveauを認めるのみであったが,肺野条件によるCTでfree airを認めたため,緊急開腹術を行った.腹腔内には悪臭を伴う腹水貯留と回腸穿孔および膿瘍形成を認め,帝王切開術に続いて腸管切除が施行された.【症例2】37歳の初産婦で3回の筋腫核出術の既往がある.前医にて妊娠の確認後,外来管理を受けた.妊娠19週6日に腹痛,おう吐を主訴に前医受診しイレウスの診断で入院となり保存的治療を受けた.治療により症状は一旦軽快したが,妊娠21週1日に症状再発し当院へ母体搬送となった.当科入院後イレウス管を挿入し,症状は軽快傾向を呈したが,注腸造影にて小腸の子宮への癒着と狭窄の所見を認めたため,妊娠23週4日に癒着剥離術を施行した.術後経過は順調で,妊娠37週4日に選択的帝王切開術が施行された.女性の初婚年齢上昇に伴い,婦人科手術既往のある女性の妊娠が増加しているが,腹部手術の既往のある妊婦の腹痛やおう吐においてはイレウスを常に念頭に置くべきである.妊娠中は胎児への影響から画像診断や手術療法が遅れがちになる.適切な診断と,迅速な治療が重要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 191-191, 2009


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